風

雨季になろうとしている。


島の風は好きだ。
海風が。
暑いけれど、風は気持ち良い。











このひと月、毎日風が異なる方向から吹いてくる。
季節の変わり目は風も天気も安定しない。
先週はずっと雨だった。その前の週はずっと晴れてた。
昨日は雨だった。それも激しく雨だった。今日は濃い青空。
ただ低い雲が増えた。暑い。

「今日はとても暑くて、水から上がってきたばかりなのにもう汗かきそうよ」
つぶやく上司。彼女は次にはっとして、
「こんなこと言っちゃいけない」と口を手で噤んだ。
晴天に文句をつけると雨になる。
天候に左右される仕事のわたしたちは、そういうジンクスを相当身にしみて感じている。

風に敏感になった。
職場の窓から入ってくる心地よい北東の風が無くなり、
南風が開け放しの入口から吹いてくると、はっとする。

棚に置いてある本のページがパラパラ煽られる音を聞くと、窓の外を見る。

わたしは強い風が好きだ。
青い空の下、風に吹かれると不思議と元気が出る。

仕事にはマイナスなので、溜め息も出るのだけれど。